白衣の天使の本当の姿
白衣の天使として誰もが知っているナイチンゲール、女性らしく優しいイメージですが、その実像はイメージとはかなり違ったようです。ナイチンゲールはクリミア戦争で敵味方の区別なく看護をし、博愛の看護師として知られています。実際に何千人もの患者の見回りを行なったり、一日中包帯を巻き続けたりと熱心な看護を続けました。
しかし、それだけでなく病院の衛生環境を改善し、死亡率を大きく下げました。衛生環境を改善するためには、軍の首脳部と交渉して理解を得ることが必要でしたが、彼女はかなりしたたかに交渉したようです。相手が誰であろうと臆することなく意見を述べる彼女の姿勢に、軍の関係者は敬意を示しました。また軍の首脳部を納得させるために視覚的に訴えることを考え、統計グラフを使用しました。今でこそ一般的な統計グラフですが、当時はまだそのようなものはなく、この手法は彼女の発明によるものです。後にこの手法の考案者として、米国統計学会の名誉回委員になっています。
36歳の時にクリミア戦争から帰還しますが、37歳のときに彼女自身が体を壊してしまい、その後はベッドでの生活を余儀なくされます。その後は著述活動が中心となり、衛生や病院に管理に関する書籍や初の看護書籍「看護覚え書き」が出版されました。実際の看護活動は、クリミア戦争時の2年間と短いものでしたが、看護にとって衛生環境がいかに大切かという彼女の看護精神は現代でも受け継がれています。